(16mmフィルム/ 8min/2015)

●台北から礁渓に向かうローカル線の車窓。フレームの中の山の緑と空。唐突に、目の前に海が、島が現れ、山の空気は海の空気に変わる。海の青に映る空の青。
東京のアパートに閉ざされ、独り眠る猫は、夢のなかで陽光に眩む。

●8ミリフィルム日中バルブ撮影、自家現像、デジタルビデオ再撮影、16ミリフィルム手持ちバルブ再々撮影、自家現像。交雑を繰り返した螺旋の中に現れるもの。

●本作品では台湾の旅で出会った風景にカメラを向け、寸描的に撮影を行った。撮影は８ミリフィルムによって日中バルブ撮影を行い、各コマに於いてブレ・滲み・露光ムラ、自家現像による現像ムラ・キズによるエマルジョン剥離を生じさせた。更にデジタルカメラによる再撮影を行い、デジタル処理を加えた上で、16ミリフィルムによって更にコマ単位で手持ちバルブ撮影再撮影を行った。

これらのプロセスにより、具象風景はカオティックに抽象化され、メディアの持つ質感すなわち本来自覚されない「外側の風景」は視認対象として立ち現れ、レンズを向けた先である「内側の風景」と混合された映像表現となった。

 

日本映像学会第41回大会
＜2015年5月31日／京都・京都造形芸術大学＞
他