filmography index 

異相 Variant phases
(Video/51min/2001)

● この作品は、複数のパート(相:phase)で成り立っており、上映されるごとに新たなphase を一つずつ付け足され、バージョンが上がってゆく構造になっている。新たなphaseを追加することにより作品全体が変容させることを試みるとともに、上映という作品の外側で起こる現象とその反応、それをもとにした思索を、作品内に練りこんでいった。
2001年、バージョン7をもって構造を閉じ制作を終了した。

● 「作者」と作品との関係、つまり作品内世界と作者の生活する現実世界との干渉をテーマの 一つとする。

現実世界の中に耳を澄まし、その「ほころび」つまり現実と作品との微かな干渉の渦を見出し、作品にフィードバックし、増幅してゆく、という方法論をデジタルビデオ撮影/ノンリニア編集によって実践した。Phase の進行と共に作品の中の現実はシフトし、特異点である作者を触媒として作品の全体像は変容してゆく。

●phase1で、ビデオシステム、つまりビデオ作品自身にとっての最大のリアリティである「身体構造」を示すことから作品は始まる。
phase2でそれが作者の主観的な世界観へと転換、文字として表現される。
phase3に於いて、作品の外側の作者の現実を映し出すことで、現実の映像化において不可避な「虚構の混入」を露呈し、更に制作時のハプニングという形で作者と作品との関係が揺らぎ始める。
Phase4では作者に対峙するキャラクターが現れ、やがて作者との関係の逆転を図り、そして登場人物としての作者のストーリーが語られてゆく。

実験的なドキュメンタリー/ビデオアートとして映画祭などで上映。

 

Ver.1:OPEN FILM/VIDEO BOX 出品<1998年、福岡、山形>  
Ver.2:クレプシドラ・アクアリウム<1998年、山形>  
Ver.3:Personal Focus1998<1998年、東京、福岡、山形、札幌他>  
Ver.4:川口肇映像個展<feiz><1999年、福岡> Ver.7: パーソナルビジョン2001日本新作プログラム<2001年、神戸、東京、浜松、岡山>    

山形国際ドキュメンタリー映画祭 2001 アジア千波万波部門<2001年、山形>
ドクスキングダム<2002年、ポルトガル・セルパ>    
ルサス映画祭 コンペティション部門<2002年、フランス・ルサス>    
台湾国際ドキュメンタリー映画祭2002国際コンペティション部門<2002年、台北>
第36回ニューヨーク・エキスポ短編映画祭<2002年、アメリカ・ニューヨーク>
ドックポイント・ドキュメンタリー映画祭<2006年、フィンランド・ヘルシンキ>、その他で上映

作品プレビュー(短縮版・4分50秒)

COPYRIGHT (C) 2007 Kawaguchi Hajime. All Rights Reserved